みんなの老後資金、いくら準備してる?「安心」を手に入れるための目標と貯め方
はじめに:「老後資金」って、どこまで準備すれば安心?
「老後資金」と聞くと、漠然とした不安を感じる方は少なくないのではないでしょうか?
「一体いくらあれば足りるの?」
「みんなはどれくらい貯めているんだろう?」
「自分も準備しないといけないのは分かっているけれど、何から始めればいいのか…」
人生100年時代と言われる今、セカンドライフを豊かに過ごすためには、計画的な老後資金の準備が不可欠です。しかし、周りの人がどれくらい準備しているのか、具体的な目標額はいくらに設定すれば良いのか、迷ってしまうこともありますよね。
この記事では、多くの人が抱く老後資金の疑問に答えながら、一般的な貯蓄状況から、あなたに合った目標金額の考え方、そして具体的な準備方法までを、分かりやすく解説していきます。漠然とした不安を解消し、「安心」な老後を迎えるためのヒントを見つけていきましょう。
みんなの老後資金、平均はどのくらい?
「みんなはどれくらい貯めているの?」という疑問は、老後資金について考える上で誰もが抱くものです。様々な調査データがありますが、あくまで目安として参考にしてみましょう。
世帯別の貯蓄状況:
金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年代別の金融資産保有額の平均値や中央値が示されています。例えば、50代の二人以上世帯では、平均値で数百万円から数千万円の金融資産を保有しているというデータもあります。ただし、これはあくまで「平均」であり、貯蓄ゼロの世帯も含まれるため、個々の状況は大きく異なります。
「平均」だけを見て安心・不安にならないで!
「平均」という数字は、あくまで参考の一つです。大切なのは、あなたの家庭のライフスタイルや将来の希望に合わせた「あなたにとっての適正な目標額」を知ることです。平均より少なくても心配しすぎる必要はありませんし、多くても油断は禁物です。
あなたに合った老後資金の目標額を見つけよう!
では、具体的に「あなたにとっての目標額」はどのように考えれば良いのでしょうか?
1. 老後の生活費を具体的にイメージする
まずは、老後にどのような生活を送りたいかを具体的にイメージしてみましょう。
月々の生活費: 現在の生活費を参考に、食費、光熱費、通信費、医療費、交通費、趣味・娯楽費など、項目ごとに洗い出してみます。老後は、住宅ローンが終わったり、通勤費がなくなったりする一方で、医療費や介護費用が増える可能性もあります。
ゆとりある生活費: 旅行、趣味、習い事など、今の生活ではなかなかできないけれど、老後にやってみたいことにかかる費用も考えてみましょう。
【参考例】
総務省統計局の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の平均的な消費支出は、月々約24万円程度とされています。しかし、これはあくまで平均であり、実際の生活費は人それぞれです。
2. 公的年金でいくら受け取れるか確認する
次に、老後に受け取れる公的年金の金額を確認しましょう。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用すれば、将来受け取れる年金額の目安を知ることができます。
ねんきん定期便: 毎年誕生月に送られてくるハガキで、これまでの年金加入記録と、将来受け取れる年金額の目安が記載されています。
ねんきんネット: 日本年金機構が運営するサイトで、より詳細な年金情報を確認したり、将来の年金額をシミュレーションしたりできます。
3. 不足額を計算し、目標金額を設定する
月々の生活費から公的年金受給額を差し引いた金額が、老後毎月足りなくなる「不足額」です。この不足額が、あなたの老後資金で補うべき金額となります。
老後資金の目標額 = (想定される老後の生活期間) × (毎月の不足額) + (一時的にかかる費用)
想定される老後の生活期間: 例えば、65歳でリタイアし、平均寿命が85歳なら20年間。健康寿命や自身の希望も考慮して長めに設定しておくと安心です。
一時的にかかる費用: 住宅のリフォーム費用、車の買い替え費用、医療費、介護費用、子供への援助、孫へのお祝い金など、まとめてかかる可能性のある費用も考慮に入れておきましょう。
【計算例】
月の生活費:30万円
月の年金受給額:20万円
毎月の不足額:10万円
老後の生活期間:25年(300ヶ月)
一時的にかかる費用:1000万円
目標金額:(10万円 × 300ヶ月) + 1000万円 = 4000万円
このように具体的な数字を出すことで、漠然とした不安が具体的な目標へと変わります。
老後資金を効率的に貯める方法
目標金額が見えてきたら、次は具体的な貯め方です。早めに始めるほど、無理なく準備を進めることができます。
1. 貯蓄の基本「先取り貯蓄」
給料が入ったら、まず一定額を老後資金用の口座に自動で移す「先取り貯蓄」を習慣にしましょう。「残ったお金を貯蓄する」のではなく、「貯蓄してから残りで生活する」という意識を持つことが大切です。
2. iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCoは、自分で掛金を拠出し、運用する私的年金制度です。
掛金が全額所得控除: 支払った掛金は全額、所得税や住民税の計算で控除されるため、節税効果があります。
運用益が非課税: 運用で得た利益は非課税で再投資されます。
受取時も控除対象: 老後に受け取る際も、退職所得控除や公的年金等控除の対象となるため、税制優遇が大きいです。
3. NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で資産形成
NISAは、投資によって得られた利益が非課税になる制度です。
投資の利益が非課税: 通常、投資の利益には税金がかかりますが、NISA口座で運用すれば非課税になります。
成長投資枠とつみたて投資枠: 自分の投資スタイルに合わせて選べる2つの枠があり、長期的な資産形成に適しています。
いつでも引き出し可能: iDeCoと異なり、原則いつでも引き出すことができるため、柔軟性が高いのが特徴です。
4. 財形貯蓄制度を利用する(勤務先に制度がある場合)
勤務先に財形貯蓄制度がある場合は、給料から天引きで貯蓄ができるため、無理なく続けることができます。特に「財形年金貯蓄」や「財形住宅貯蓄」は、一定の要件を満たせば非課税のメリットもあります。
5. 資産運用の検討
預貯金だけでは、今の低金利ではなかなか資産は増えません。リスクを理解した上で、少額からでも資産運用(投資信託、株式など)を検討してみるのも良いでしょう。ただし、リスクとリターンは表裏一体なので、十分に学習し、ご自身の許容範囲で始めることが大切です。
まとめ:「安心」な老後へ、今日から一歩踏み出そう!
老後資金の準備は、決して「特別なこと」ではありません。日々の暮らしの中で少しずつ意識し、行動することで、誰でも着実に準備を進めることができます。
自分に合った目標額を知る
早めに貯蓄を始める
税制優遇制度を賢く活用する
必要に応じて資産運用も検討する
漠然とした不安を感じている時間こそ、行動を起こすチャンスです。今日からできることから始めて、未来の自分に「安心」という最高のプレゼントを贈りましょう。