春のお彼岸はいつ?意味・やること・タブーなど基本を徹底解説
「春のお彼岸って、毎年いつだっけ?」
「お墓参り以外に、何かやることがあるの?」
「これって、お彼岸のタブーなのかな…?」
春の訪れとともにやってくる「お彼岸」。名前は知っていても、具体的な期間や、どんな意味があるのか、何をすればいいのか、意外と知らないことも多いのではないでしょうか?
お彼岸は、ご先祖様を敬い、感謝の気持ちを伝える大切な日本の伝統行事です。故人やご先祖様との絆を深めるためにも、その意味やしきたりをきちんと理解しておきたいですよね。
この記事では、春のお彼岸の期間から、その意味、そして「やること」「避けるべきこと(タブー)」まで、お彼岸の基本を分かりやすく解説します。
これを読めば、あなたは自信を持ってお彼岸を迎え、心穏やかにご先祖様を偲ぶことができるはずです。
1. 春のお彼岸はいつ?期間と中日をチェック!
お彼岸は、春と秋の年2回あります。まずは、春のお彼岸の期間を確認しましょう。
春のお彼岸の期間
彼岸入り(最初の日): 春分の日より3日前
春分の日(中日): 3月20日頃
彼岸明け(最後の日): 春分の日より3日後
お彼岸は、春分の日(または秋分の日)を「中日(ちゅうにち)」として、その前後3日間を合わせた合計7日間が期間となります。
春分の日と秋分の日は、国民の祝日として日付が毎年異なりますが、基本的に3月20日頃と9月23日頃に定められます。この日付は国立天文台が毎年発表する「暦要項(れきようこう)」によって決定されます。具体的な日付は、毎年カレンダーやニュースで確認できます。
2. なぜこの時期?お彼岸の「意味」と「由来」をひも解く
お彼岸がなぜこの時期に行われるのか、その意味や由来を知ることで、より深くご先祖様を偲ぶことができるでしょう。
2-1. 「此岸(しがん)」と「彼岸(ひがん)」、そして「中道」
お彼岸は、仏教の教えに深く根ざした行事です。
此岸(しがん): 私たちが生きている、迷いや苦しみの多い「この世」を指します。
彼岸(ひがん): 迷いを乗り越え、悟りを開いた世界、つまり「あの世」や「浄土」を指します。
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈む日です。この日は、太陽が極楽浄土があるとされる西方を指し、此岸と彼岸が最も通じやすくなると考えられています。
この時期に仏道修行に励み、ご先祖様を供養することで、自分たちも彼岸にたどり着けると信じられてきました。
2-2. 日本独自の仏教行事
実はお彼岸は、日本独自の仏教行事です。インドや中国には見られない風習で、日本古来の祖先崇拝と仏教が結びついて生まれたと考えられています。
平安時代には既に貴族の間で行われていた記録があり、江戸時代には庶民の間にも広まり、現在まで続く大切な伝統となりました。
3. お彼岸に「やること」リスト:心穏やかにご先祖様を偲ぶために
お彼岸の期間中にすべきこと、一般的に行われることをご紹介します。全てを完璧に行う必要はありませんが、できる範囲でご先祖様への感謝の気持ちを伝えましょう。
3-1. 【最重要】お墓参り
お彼岸の最も大切な行事の一つが、お墓参りです。ご先祖様や故人が眠るお墓を訪れ、感謝と近況を報告しましょう。
いつ行く?: 彼岸の期間中であれば、いつでも構いません。一般的には中日である春分の日に合わせて行くことが多いですが、ご自身の都合の良い日を選びましょう。
準備するもの:
お供え物: 故人が好きだったものや、日持ちのするお菓子、飲み物など。
お花: 故人が好きだった花や、菊、リンドウなど日持ちのする花。
線香・ロウソク: 火を扱うので、風よけなども用意すると良いでしょう。
掃除用具: タオル、ブラシ、柄付きたわし、ゴミ袋など。
お墓参りの手順:
掃除: 墓石をきれいに拭き、雑草を抜くなど、お墓の周りをきれいに掃除します。
お供え: お花を供え、水鉢にきれいな水を入れ、お供え物を供えます。
合掌・焼香: 線香をあげ、故人を偲びながら合掌し、心を込めてお参りします。
片付け: 供えた食べ物などは、カラスや動物に荒らされないよう持ち帰りましょう。
3-2. お仏壇のお掃除と供養
お家に仏壇がある場合は、お墓参りに行けない場合でも、お仏壇をきれいに掃除し、ご先祖様を供養しましょう。
お掃除: 普段見落としがちな場所も丁寧に拭き、花立やおりんなどもきれいに磨きましょう。
お供え: お花やお供え物(お菓子、果物、お茶など)を供えます。
読経・合掌: 仏壇の前で手を合わせ、故人を偲びます。お経を唱える習慣がある場合は、読経を行いましょう。
3-3. お彼岸のお供え物「おはぎ(ぼたもち)」
春のお彼岸には**「ぼたもち」、秋のお彼岸には「おはぎ」**を食べる習慣があります。これらは基本的に同じもので、季節によって呼び名が変わります。
ぼたもち(牡丹餅): 春に咲く牡丹の花に見立てて「ぼたもち」と呼びます。
おはぎ(お萩): 秋に咲く萩の花に見立てて「おはぎ」と呼びます。
どちらも、あんこの材料である小豆が邪気を払うと信じられ、また、当時貴重だった砂糖が使われていることから、ご先祖様へのお供え物として重んじられてきました。手作りしたり、和菓子店で購入したりして、お供えしましょう。
3-4. 家族で過ごす時間も大切に
お彼岸は、ご先祖様を偲ぶと同時に、家族の絆を再確認する良い機会でもあります。
親戚や家族との食事: お墓参りの後にみんなで食事をしたり、おはぎを囲んで語り合ったりするのも良いでしょう。
故人の思い出話をする: 故人の生前の思い出を語り合うことで、故人を身近に感じ、記憶を繋いでいくことができます。
4. 知っておきたい!お彼岸の「タブー」とされていること
お彼岸には、一般的に避けるべきとされていることがいくつかあります。これらは厳密なルールではありませんが、不快な思いをする人がいないよう、配慮の気持ちとして知っておくと良いでしょう。
4-1. 殺生を伴う行事や祝い事を避ける
お彼岸は仏教の教えに基づいた期間であり、「殺生戒(せっしょうかい)」という生き物の命を奪うことを禁じる考え方があります。
釣りや狩りなど、殺生を伴うレジャーは避けるのが一般的です。
結婚式や入籍、引っ越しなどのお祝い事も、この時期は避ける傾向があります。これらは「慶事(おめでたいこと)」であり、故人を偲ぶお彼岸の趣旨とは異なるためです。ただし、近年は気にしない方も増えていますので、ご家族と相談して決めましょう。
4-2. 派手な行動や不謹慎な言動
お彼岸は故人やご先祖様を敬う期間です。
派手な服装や行動は避け、慎ましやかな態度で過ごしましょう。
お墓参りなどでは、大声で騒いだり、不謹慎な発言をしたりすることは控えましょう。
お墓や仏壇にお供えした生ものを長時間放置するのは衛生的にもタブーです。
4-3. 仏花以外のお花(トゲや毒のある花)
お墓や仏壇にお供えするお花には、ふさわしくないとされるものがあります。
バラなどトゲのある花: 故人やご先祖様を傷つける可能性があるため、避けるのが一般的です。
彼岸花(曼珠沙華)など毒のある花: 毒性があり、手入れの際に触れると危険なため、お供えには向きません。
菊やカーネーション、リンドウなど、日持ちが良く、仏事にも適した花を選びましょう。
5. お彼岸に関するQ&A
よくある疑問にお答えします。
Q1. お彼岸にお墓参りに行けない場合はどうすればいい?
A. 忙しくてお墓参りに行けない場合は、無理に行く必要はありません。その代わりに、自宅の仏壇をきれいに掃除し、お花やお供え物を供えて手を合わせるだけでも、十分ご先祖様への供養になります。遠方で仏壇もない場合は、心の中でご先祖様を思い、感謝の気持ちを伝えましょう。
Q2. お彼岸に「旅行」に行ってもいい?
A. お彼岸期間中の旅行は、かつては避けるべきとされていましたが、近年では気にしない方も増えています。ただし、ご先祖様を大切にする気持ちは持ち続けたいものです。旅行先からでも故人を偲んだり、旅行前に仏壇をきれいにしたりするなど、できる範囲で配慮すると良いでしょう。ご家族や親戚の考え方も尊重することが大切です。
Q3. お彼岸と「お盆」って何が違うの?
A. どちらもご先祖様を供養する行事ですが、以下のような違いがあります。
お盆: ご先祖様の霊が一時的にこの世に帰ってくるとされ、家族と共に過ごす期間です。提灯を飾ったり、精霊馬(きゅうりやナス)を用意したりする風習があります。
お彼岸: ご先祖様が住む「彼岸」と私たちが住む「此岸」が最も近くなる期間とされ、お墓参りや仏壇のお供えを通じて、私たちからご先祖様を敬うことに重きが置かれます。
どちらもご先祖様を大切にする気持ちは同じです。
まとめ:心穏やかに、ご先祖様との絆を深めるお彼岸を
春のお彼岸は、寒さが和らぎ、春の息吹を感じる清々しい季節にやってきます。この時期に、ご先祖様に感謝の気持ちを伝え、家族との絆を深めることは、私たちの心を豊かにしてくれるでしょう。
春のお彼岸は春分の日を中日とした前後3日間(合計7日間)。
お墓参りやお仏壇の供養、おはぎのお供えが主なやること。
殺生や派手な祝い事、トゲのある花は避けるのが一般的。
これらの基本を理解し、あなた自身の心とご家族の状況に合わせて、無理のない範囲でご先祖様を偲んでみてください。
きっと、心穏やかで meaningful な時間を過ごせるはずです。