住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?上限額が下がるケースと「損をしない」シミュレーション方法


マイホームを購入して「住宅ローン控除」を受けている方にとって、節税の代名詞ともいえる「ふるさと納税」を併用できるかどうかは非常に気になるポイントです。「両方使うと控除枠が減って損をするのでは?」「どちらか一報しか選べないの?」という不安を抱える方も少なくありません。

結論から申し上げますと、住宅ローン控除とふるさと納税は併用が可能です。ただし、やり方を間違えると控除を最大限に活かせず、自己負担額が増えてしまう「持ち出し」が発生するケースもあります。

この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税を賢く併用するための仕組みや、上限額が下がってしまう条件、そして具体的なシミュレーションの考え方を分かりやすく解説します。


住宅ローン控除とふるさと納税を併用する基本の仕組み

住宅ローン控除は「所得税(および住民税の一部)」から直接税金を差し引く制度です。一方、ふるさと納税は「寄付金控除」として、所得から差し引く(所得控除)、あるいは税金から差し引く(税額控除)仕組みです。

どちらも「収めるべき税金を安くする」という点では共通していますが、計算の優先順位が異なります。

税金が安くなる優先順位

  1. ふるさと納税(所得税分)

  2. 住宅ローン控除(所得税分)

  3. ふるさと納税(住民税分)

  4. 住宅ローン控除(住民税分)

このように、まず所得税からふるさと納税の分が差し引かれ、その残りの所得税から住宅ローン控除が差し引かれます。所得税で引ききれなかった住宅ローン控除額は、一定の限度額まで住民税から差し引かれることになります。


「損をする」可能性があるケースとは?

併用自体は可能ですが、所得税や住民税の納税額には限りがあります。そのため、以下のケースでは控除をフルに活用できず、結果として損(メリットの減少)を感じることがあります。

1. 所得税も住民税も「引ききれない」場合

住宅ローン控除額が非常に大きく、さらにふるさと納税も多額に行った場合、差し引くべき元の税金がゼロになってしまうことがあります。ゼロ以下にはならないため、枠が余ってもキャッシュバックされることはありません。

2. 住民税からの控除限度額を超えてしまう

住宅ローン控除を住民税から差し引ける金額には、上限が設けられています。ふるさと納税によって住民税がすでに大きく減っていると、住宅ローン控除の住民税分が入り込む余地がなくなり、控除しきれない金額が出てくる可能性があります。


上限額が下がる?「ワンストップ特例」と「確定申告」の違い

併用する際に最も重要なのが、申請方法の選択です。どちらを選ぶかによって、ふるさと納税の控除の仕組みが変わり、住宅ローン控除への影響度も異なります。

ワンストップ特例制度を利用する場合

  • 特徴: 全額が「住民税」から控除されます。

  • メリット: 所得税の計算に影響を与えないため、所得税枠をそのまま住宅ローン控除に回せます。

  • 注意点: 寄付先が5自治体以内である必要があります。

確定申告を行う場合

  • 特徴: 「所得税」と「住民税」の両方から控除されます。

  • メリット: 医療費控除など、他の控除もまとめて申請できます。

  • 注意点: 先に所得税からふるさと納税分が控除されるため、住宅ローン控除として所得税から引ける残額が少なくなる場合があります。

ポイント: 住宅ローン控除の1年目の方は必ず確定申告が必要ですが、2年目以降で他に申告するものがなければ、ワンストップ特例を利用する方が住宅ローン控除への影響を抑えやすくなります。


損をしないためのシミュレーション手順

ご自身が「併用しても大丈夫な枠」を把握するために、以下のステップでシミュレーションを行ってみましょう。

ステップ1:住宅ローン控除額を把握する

年末時点のローン残高に控除率をかけた金額を確認します。これが「最大でいくら税金が戻ってくるか」の基準になります。

ステップ2:源泉徴収票で納税額を確認する

昨年の源泉徴収票(または今年の年収見込み)を見て、「所得税」と「住民税」をいくら払っているか確認します。この合計額が、控除を受けられる最大値です。

ステップ3:専用シミュレーターで「住宅ローン控除あり」を選択

多くのふるさと納税サイトには、詳細シミュレーターが用意されています。そこで必ず**「住宅ローン控除を利用する」にチェックを入れ**、ローン残高を入力してください。これにより、併用しても自己負担が2,000円で済む「本当の上限額」が算出されます。


併用時の具体的な注意点と対策

医療費控除など他の控除がある場合

医療費控除を申請すると所得税がさらに安くなるため、住宅ローン控除やふるさと納税の枠に影響が出やすくなります。複数の控除を併用する場合は、より慎重な計算が必要です。

住宅ローン控除の適用「1年目」は注意

前述の通り、住宅ローン控除の適用1年目は会社員の方でも確定申告が必須です。この年はワンストップ特例が使えない(確定申告が優先され、特例が無効になる)ため、所得税からふるさと納税分が差し引かれることを前提に上限額を見積もりましょう。

「全額控除」にこだわらなくても良い場合も

たとえ数百円〜数千円の控除漏れが発生したとしても、ふるさと納税で受け取る返礼品の価値がそれを上回っていれば、トータルではプラスになります。完璧な計算に固執しすぎず、8〜9割程度の余裕を持った寄付を心がけるのが精神的にもお得です。


まとめ:賢い併用で住まいの恩恵を最大化しよう

住宅ローン控除とふるさと納税は、正しく理解して利用すれば、家計にとって非常に強力な味方になります。

  • 併用は可能だが、元の税金額には上限がある。

  • 2年目以降なら「ワンストップ特例」の方が影響を抑えやすい。

  • 必ず「住宅ローン控除対応」のシミュレーターで上限を確認する。

この3点を押さえておけば、せっかくの制度を無駄にすることはありません。マイホームという大きな買い物をしたからこそ、ふるさと納税を上手に組み合わせて、日々の生活をより豊かに彩っていきましょう。

まずは、お手元に源泉徴収票やローンの返済予定表を準備して、最新のシミュレーターで「あなただけの正確な上限額」をチェックしてみることから始めてみませんか?


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