【投資家必見】株の譲渡益を確定申告すると保険料が上がる?ふるさと納税活用の罠


「株で大きな利益が出たから、ふるさと納税の限度額を増やして節税しよう!」そう考えている投資家の方は多いはずです。しかし、安易な確定申告は、節税額を大きく上回る「想定外の出費」を招くリスクがあることをご存知でしょうか。

特に自営業やフリーランス、リタイア世代の方がハマりやすい、株の譲渡益とふるさと納税、そして社会保険料の関係性には恐ろしい「罠」が潜んでいます。

この記事では、利益を最大化するための正しい申告判断と、損をしないための具体的な注意点を徹底解説します。


株の利益を確定申告するメリット:ふるさと納税の枠が広がる

まず、なぜ株の譲渡益(売却益)を確定申告する人が多いのか、その最大の理由はふるさと納税の寄付限度額(上限額)を増やすためです。

通常、源泉徴収ありの特定口座で取引している場合、税金は自動的に引かれ、その利益は「所得」としてカウントされません。しかし、あえて確定申告を行うことで、その利益が正式な所得として合算されます。

  • 給与所得のみ:寄付限度額は給与額に基づき算出

  • 給与所得 + 株の譲渡益:合算された高い所得に基づき算出

株で100万円、200万円と利益が出ている場合、確定申告をすることでふるさと納税の枠が数万円単位で拡大し、より多くの返礼品を受け取ることが可能になります。一見すると、投資家にとって非常にお得なスキームに見えます。


投資家を襲う「社会保険料アップ」の罠

ここからが本題です。ふるさと納税の枠を増やすために株の利益を確定申告すると、住民税上の「合計所得金額」が増加します。これが原因で、以下のような事態が起こるリスクがあります。

1. 国民健康保険料・介護保険料の増額

国民健康保険(国保)に加入している自営業者や退職者、フリーランスの方は特に注意が必要です。国保の保険料は、前年の所得に基づいて計算されます。

株の利益を申告して所得が増えると、翌年の保険料が数万円〜数十万円単位で跳ね上がるケースがあります。「ふるさと納税で数千円分得をしたが、保険料が10万円上がった」という、笑えない逆転現象が起こり得るのです。

2. 後期高齢者医療制度の負担割合

75歳以上の方の場合、所得が増えることで窓口での負担割合が「1割」から「2割」や「3割」に引き上げられる可能性があります。

3. 配偶者控除・扶養控除の取り消し

家族の扶養に入っている方が株の利益を申告し、所得が一定ライン(例:合計所得金額48万円)を超えると、扶養から外れてしまいます。これにより、世帯主の税負担が急増するリスクがあります。


「申告不要制度」の選択ができなくなった現行ルール

以前は「所得税は確定申告してふるさと納税の枠を増やし、住民税は申告不要を選んで保険料の上昇を抑える」という裏技(課税方式の選択)が可能でした。

しかし、税制改正により、現在は所得税と住民税の課税方式を一致させなければならないというルールに統一されました。つまり、「所得税だけ申告して、住民税(保険料の計算元)には影響させない」という立ち回りができなくなったのです。

現在は、以下の2択しかありません。

  1. 申告しない:保険料は変わらないが、ふるさと納税の枠も増えない。

  2. 確定申告する:ふるさと納税の枠は増えるが、保険料も上がるリスクがある。


確定申告をすべきかどうかの判断基準

あなたが「ふるさと納税のために確定申告をすべきかどうか」は、加入している健康保険の種類で決まります。

確定申告をしてもデメリットが少ない人

  • 会社員(職域の健康保険組合や協会けんぽに加入)

    給与から天引きされる健康保険料は、標準報酬月額(給与額)に基づきます。株の利益を確定申告しても、基本的に健康保険料は上がりません。

  • NISA口座での運用のみの人

    NISAの利益はそもそも非課税であり、所得に含まれないため、申告の必要もなく影響もありません。

確定申告を慎重に検討すべき人

  • 国民健康保険の加入者(自営業、フリーランス、無職の方など)

  • 家族の扶養に入っている人

  • 後期高齢者医療制度の対象者

これらのケースでは、ふるさと納税による「返礼品のお得度」と、増額される「保険料・税金」を天秤にかける必要があります。


損益通算をする場合も限度額に注意!

「今年は株で負けたから、別の口座の利益と相殺(損益通算)するために確定申告をしよう」という場合も注意が必要です。

損益通算によって所得が少なくなると、ふるさと納税の寄付限度額は逆に下がります。

「去年と同じ年収だから」と例年通りに寄付をしてしまうと、所得が減ったことで限度額を超えてしまい、自己負担額が2,000円を大幅に上回ってしまう(=ただの寄付になる)可能性があります。


失敗しないための解決策

  1. シミュレーターで「正確な数字」を出す

    多くのふるさと納税サイトには、株の譲渡益を含めた詳細シミュレーターがあります。まずは「申告した場合」と「しない場合」の差額を確認しましょう。

  2. お住まいの自治体の保険料率を確認する

    国民健康保険料の計算方法は自治体ごとに異なります。不安な場合は、役所の保険課などで「株の利益を〇〇万円申告した場合、保険料はどうなるか」を試算してもらうのが最も確実です。

  3. ワンストップ特例の利用を検討する

    会社員で確定申告の必要がない場合は、株の利益を申告せず(源泉徴収ありのまま)、給与所得の範囲内だけで「ワンストップ特例制度」を利用するのが最も安全で手間もかかりません。


まとめ:投資の収益は「手残り」で考えよう

株の利益とふるさと納税は非常に相性が良い一方で、社会保険料という大きな落とし穴が潜んでいます。

特に国民健康保険加入者にとっては、ふるさと納税の枠を増やすための確定申告が、結果として家計を圧迫する「罠」になりかねません。自分の加入している保険制度と、税制改正による最新のルールを正しく理解し、トータルで「いくら手元に残るのか」を冷静に判断しましょう。

賢い投資家は、運用益だけでなく、税金と保険料まで含めた「出口戦略」を大切にします。