ふるさと納税の「ワンストップ特例」と「確定申告」はどっちが得?


ふるさと納税を楽しんでいる方の多くが直面するのが、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」のどちらで手続きをすべきかという悩みです。「少しでも手元に残るお金を増やしたい」「損をしたくない」と考えるのは当然のことですよね。

結論からお伝えすると、「純粋な控除額」については、どちらを選んでも原則として差はありません。 しかし、住宅ローン控除を利用している場合や、寄付金額が上限を超えてしまった場合など、特定の条件下では「どちらがお得か」の答えが変わってきます。

この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)的な視点から、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較し、あなたが最も得をするための具体的な判断基準を解説します。


控除額の仕組みと「お得度」の正体

まずは、両者の税金還付・控除の仕組みを整理しましょう。

確定申告の場合:所得税と住民税からダブルで還付

確定申告を行うと、寄付金控除として「所得税の還付」と「住民税の控除」の2段階で反映されます。

  • 所得税: 申告後、数ヶ月以内に指定口座へ現金が振り込まれます。

  • 住民税: 翌年6月以降の住民税が減額されます。

ワンストップ特例の場合:住民税から全額控除

一方で、ワンストップ特例を利用した場合は所得税からの還付がなく、控除されるべき全額が「翌年度の住民税」から差し引かれます。

「所得税の還付がないなら損なのでは?」と不安になるかもしれませんが、安心してください。所得税で還付されるはずだった分も、まとめて住民税から引かれる仕組み(申告特例控除)になっているため、最終的な負担額はほぼ同等です。


【ケース別】どっちを選ぶのが正解?

基本の控除額は同じでも、生活環境や他の控除状況によって「最適解」は異なります。

1. 住宅ローン控除を利用しているなら「ワンストップ」がおすすめ

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている方は、ワンストップ特例の方が「控除の最大化」を狙いやすい傾向にあります。

  • 理由: 確定申告をすると「所得税」から優先的に寄付金控除が引かれます。その結果、所得税額が減りすぎてしまい、住宅ローン控除で引ききれなかった分が住民税へ回されます。しかし、住民税からの住宅ローン控除には上限があるため、最悪の場合、一部の控除枠を使い切れない「控除ロス」が発生する可能性があります。

  • 対策: ワンストップ特例なら、ふるさと納税の控除はすべて住民税から行われるため、所得税の枠をフルに住宅ローン控除に充てることができます。

2. 寄付金上限(限度額)をオーバーしたなら「確定申告」

もし、自分の控除限度額ギリギリ、あるいは少し超えて寄付をしてしまった場合は、確定申告の方が有利になることがあります。

ワンストップ特例では、限度額を超えた分は単純に自己負担となります。しかし、確定申告であれば、所得税の計算において寄付金控除が適用されるため、超えた分の一部が所得税の還付として戻ってくるケースがあるからです。

3. 医療費控除などを併用するなら「確定申告」一択

「今年は歯の矯正や出産で医療費がかかったから医療費控除を受けたい」という場合、注意が必要です。

確定申告を一度でも行うと、それまでに出していた「ワンストップ特例の申請」はすべて無効になります。 医療費控除や副業の申告、住宅ローン初年度の申告などで確定申告をする人は、必ずふるさと納税の寄付内容も一緒に申告するようにしましょう。


メリット・デメリット比較表

選ぶ際のポイントを一覧表にまとめました。

比較項目ワンストップ特例確定申告
手続きの楽さ◎(書類を郵送/アプリ申請のみ)△(申告書の作成が必要)
自治体数制限5自治体まで制限なし
還付・控除先全額「住民税」から減額「所得税」の還付 + 「住民税」の減額
還付時期翌年6月〜所得税は1〜2ヶ月後、住民税は翌年6月〜
住宅ローン併用影響が出にくい(おすすめ)所得税額により影響が出る可能性あり
向いている人給与所得のみのサラリーマン・公務員医療費控除がある人、6自治体以上に寄付する人

失敗しないための具体的な対策ステップ

「結局、私はどうすればいいの?」という方に向けて、損をしないためのチェックリストを作成しました。

  1. 寄付先の自治体数を数える

    5自治体以内ならワンストップ特例が選べます。6自治体以上なら迷わず確定申告の準備をしましょう。

  2. 他の控除(医療費控除など)の有無を確認

    医療費控除や住宅ローン控除初年度の申告があるなら、ワンストップ特例は使えません。

  3. シミュレーションサイトで「上限額」を再確認

    年収だけでなく、社会保険料や生命保険料控除を加味した「詳細シミュレーション」を行い、限度額に余裕があるか確認してください。

  4. 期限を厳守する

    • ワンストップ特例:寄付した翌年の1月10日(必着)

    • 確定申告:寄付した翌年の3月15日まで

      どちらも1日でも遅れると、その年の控除が受けられなくなるため注意が必要です。


まとめ:自分に合った方法で賢く節税

「ワンストップ特例」と「確定申告」は、どちらが絶対的に得というものではなく、**「あなたの税金の支払い状況にどちらがフィットするか」**という視点が重要です。

  • 手間をかけたくない、住宅ローン控除があるワンストップ特例

  • 他にも控除がある、寄付先が多い、少しでも早く現金還付を受けたい確定申告

この基準で選べば、大きな損をすることはありません。制度を賢く利用して、地域の美味しい特産品や魅力的な返礼品を楽しみながら、家計の負担をしっかり減らしていきましょう。

もし、ご自身の年収や家族構成から「具体的な控除上限額」を詳しく知りたい場合は、お住まいの自治体や税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。


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