建設業許可の欠格事由とは?役員の「登記されていないことの証明書」が必要な理由
建設業の許可を新規で取得しようとする際、あるいは更新の手続きを進める中で、必ずぶつかる壁が「欠格事由(けっかくじゆう)」の確認です。
「うちは真面目に商売をしているから大丈夫」と思っていても、法律で定められた要件を一つでも満たしていないと、許可は無慈悲に却下されてしまいます。その確認のために、役員全員分の提出を求められるのが**「登記されていないことの証明書」**です。
なぜ、ただの身分証明書ではなく、わざわざ法務局で発行されるこの書類が必要なのでしょうか?
この記事では、建設業許可における欠格事由の基礎知識から、役員の適格性を証明するための具体的な手順まで、行政書士に依頼せずとも理解できるよう詳しく解説します。
1. 建設業許可における「欠格事由」とは何か?
欠格事由とは、簡単に言うと**「建設業を営む上で、ふさわしくないと判断される条件」**のことです。建設工事は公共性が高く、手抜き工事や不正があると人命に関わるため、経営陣には高い信頼性が求められます。
建設業法第7条および第13条では、主に以下のようなケースが欠格事由として定められています。
精神の機能の障害により、適正に業務を行えない者
破産者で復権を得ない者
不正な手段で許可を受けた、あるいは取り消しから5年を経過しない者
特定の刑罰(禁錮刑以上や、建設業法違反など)を受け、刑が終わってから5年を経過しない者
暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
これらの項目に、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)、さらに**役員(監査役を含む)や株主(5%以上保有)**が一人でも該当していると、許可は下りません。
2. なぜ「登記されていないことの証明書」が必要なのか?
欠格事由の中でも、特に「精神の機能の障害により判断能力が不十分でないこと」を確認するために使われるのが、**「登記されていないことの証明書」**です。
役割は「成年後見制度」の利用有無の証明
かつての法律では「成年被後見人・被保佐人」という言葉で直接的に制限されていましたが、現在は「心身の故障により建設業を適正に営むことができない者」として判断されます。
この書類は、**「私は判断能力が十分であり、家庭裁判所から後見人などを付けられていません」**ということを法務局が公的に証明するものです。役員一人ひとりがこの証明書を提出することで、企業として健全な経営体制であることを示します。
3. 対象者はどこまで?役員全員が必要な理由
建設業許可の申請において、この書類が必要な範囲は想像以上に広いです。
株式会社の場合: 取締役(非常勤含む)、監査役、執行役員
個人事業主の場合: 事業主本人、支配人
令第3条に使用人(支店長など): 支店単位で許可を受ける場合
「名前を貸しているだけの非常勤役員だから不要だろう」という思い込みは禁物です。一人でも欠けると書類不備となり、審査がストップしてしまいます。
4. 登記されていないことの証明書をスムーズに取得する対策
許可申請の期限が迫っている場合、以下のステップで効率よく書類を揃えましょう。
① 役員全員に早めにアナウンスする
役員が遠方に住んでいる場合、本人の代理で取得するには委任状が必要です。プライバシーに関わる書類でもあるため、趣旨(建設業許可のため)をしっかり説明し、協力してもらう体制を整えましょう。
② 郵送なら「東京法務局」へ一括申請
役員が各地に散らばっている場合、それぞれに取ってもらうよりも、会社で取りまとめて東京法務局へ郵送申請するのが最も効率的です。返信用封筒を一つにすれば、手間もコストも抑えられます。
③ 「身分証明書」も忘れずにセットで
前述の通り、破産者でないことを証明する「身分証明書(本籍地の役所で発行)」もセットで求められるのが通例です。この2枚が揃って初めて、欠格事由に該当しないことの証明が完了します。
5. もし欠格事由に該当してしまったら?
万が一、役員の中に過去の罰金刑や破産歴がある人がいた場合、隠して申請するのは絶対にNGです。虚偽記載と見なされれば、より重いペナルティ(許可の取り消しや数年間の申請禁止)を科されます。
その場合は、役員を退任させる、あるいは欠格期間が経過するのを待つなど、法的に正しい手順を踏む必要があります。不安な場合は、事前に管轄の整備局や行政書士などの専門家に相談しましょう。
まとめ:クリーンな経営体制が許可取得の第一歩
「登記されていないことの証明書」の提出は、単なる事務作業ではありません。それは、あなたの会社が法を遵守し、健全な経営を行っていることを社会に証明するプロセスです。
建設業許可は一度取得すれば大きな武器になりますが、維持するためには日頃からのコンプライアンス意識が欠かせません。
役員構成に変更はないか
欠格事由に触れるようなトラブルはないか
これらを定期的にチェックし、スムーズな許可取得・更新を目指しましょう。
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