イチゴ苗は買わずに増やす!ランナーからの苗作り(育苗)で翌年の収穫量を3倍にする方法


「家で美味しいイチゴをたくさん食べたいけれど、毎年苗を買い直すのはコストがかかるし大変……」と悩んでいませんか?実は、イチゴは一度植えてしまえば、翌年からは苗を買わずに、自分の手でどんどん増やすことができるんです。

しかも、コツさえ掴めば、購入した苗よりも元気で、収穫量が何倍にも増える「エリート苗」を育てることが可能です。

この記事では、イチゴの「ランナー」というつるを活用した、初心者でも失敗しない苗作り(育苗)の具体的なステップを詳しく解説します。プランター菜園の方も、畑での家庭菜園の方も、この記事を読めば来シーズンには真っ赤に実ったイチゴの絨毯を作ることができますよ。


なぜ「ランナー」から苗を作るのがお得なの?

イチゴの収穫が終わる初夏になると、親株から「ランナー」と呼ばれる細長いツルが勢いよく伸びてきます。このランナーの先にできる小さな子株こそが、翌年の主役となる新しい苗です。

自分で苗を作る最大のメリットは、以下の3点です。

  1. 圧倒的なコストパフォーマンス:一度苗を買えば、理論上は無限に増やせます。

  2. 環境への適応力:自分の庭やベランダの環境で育った親株から生まれた苗は、最初からその土地の気候に馴染んでいるため、病害虫に強く育ちやすいです。

  3. 収穫量のコントロール:スペースに合わせて好きなだけ苗を確保できるため、計画的に収穫量を増やすことができます。

それでは、具体的な作業手順を見ていきましょう。


ステップ1:親株の選定とランナーの整理

苗作りは、収穫が終わった後の「親株選び」から始まります。すべての株から苗を採るのではなく、**「今年たくさん実をつけた、病気のない元気な株」**を親株に選びましょう。

不要なランナーの処理

収穫期からランナーは伸び始めますが、実を大きくするためには、収穫が終わるまではこまめにハサミでカットします。収穫が完全に終わったら、いよいよ苗作りのスタートです。


ステップ2:元気な「子株」を見極める順番の法則

ここが最も重要なポイントです。ランナーが伸びると、一定の間隔で節ができ、そこに葉(子株)が展開します。親株に近い方から「太郎苗(一番目)」「次郎苗(二番目)」「三郎苗(三番目)」と呼びますが、どれでも良いわけではありません。

  • 太郎苗は使わない:親株に最も近い太郎苗は、親株が持っていた病気やウイルスを引き継いでいる可能性が高く、成長にムラが出やすいため、一般的には育苗には使いません。

  • 次郎苗・三郎苗を狙う:親株からの距離が適度にあり、ウイルス感染のリスクが低く、かつ栄養をしっかり蓄えられる「二番目以降」の苗を育てるのが、翌年の多収穫への近道です。


ステップ3:ポット受け(ピン留め)の具体的な手順

子株に根を張らせる作業を「ポット受け」と呼びます。

  1. ポットの準備:3号(9cm)程度のポリポットに、市販の「種まき・育苗用培養土」を入れます。肥料分が多すぎると根が傷むため、清潔で水はけの良い土を選んでください。

  2. 子株の固定:次郎苗や三郎苗の根元をポットの土に軽く押し当てます。このとき、U字に曲げた針金や、市販の園芸用ピン、あるいはヘアピンなどでランナーをまたぐようにして土に固定します。

  3. 切り離さない:この時点では、まだ親株とランナーで繋がったままにしておきます。親株からの栄養を送り続けてもらうことで、発根を促進させます。


ステップ4:自立を促す「ランナー切り」のタイミング

ポットにピン留めしてから2〜3週間ほど経つと、白い根がしっかり土を掴み、新しい葉が3枚ほど展開してきます。

苗が自立できるサインは、**「子株を軽く引っ張っても抜けない状態」**になったときです。

  • 切り離しの儀式:ハサミを消毒し、親株側のランナーを2〜3cm残してカットします。この残したランナーの切り口(クラウンの向き)が、将来イチゴの花が咲く方向の目印になるため、少し長めに残しておくと定植時に役立ちます。

  • 半日陰で休ませる:切り離した直後は苗にとって大きなストレスがかかります。数日間は直射日光を避け、風通しの良い半日陰で管理しましょう。


ステップ5:夏越しと秋の定植に向けた管理

苗ができあがった後、秋の定植(植え付け)までの期間が最も気が抜けません。日本の夏は過酷ですが、ここを乗り越えれば大収穫が約束されます。

水やりの極意

ポットは乾燥しやすいため、朝の涼しい時間帯にたっぷりと水を与えます。ただし、常に土がジメジメしていると根腐れの原因になるため、「乾いたらあげる」というメリハリが大切です。

肥料の与え方

育苗期間中は、薄めの液体肥料を10〜14日に一度与える程度で十分です。過剰な肥料は、アブラムシなどの害虫を呼び寄せる原因になるので注意してください。


収穫量を3倍にするための秘密の裏技

翌年の収穫量を劇的に増やすために、プロも実践しているテクニックを紹介します。

  1. クラウンを太らせる:苗の根元にあるぷっくりとした茎の部分を「クラウン」と呼びます。ここが太いほど、中に蓄えられたエネルギーが多く、大きな花を咲かせます。風通しを良くし、日光をしっかり当てることでクラウンは太くなります。

  2. 病害虫の早期発見:うどんこ病やハダニは、見つけ次第すぐに対処しましょう。重曹水のスプレーなど、家庭にあるもので初期対応するだけでも、苗の生存率は格段に上がります。

  3. 土の使い回しを避ける:育苗に使う土だけは、新しい清潔なものを使ってください。連作障害を防ぐことが、安定した収穫への一番の近道です。


まとめ:来年のイチゴ祭りに向けて

イチゴの苗作りは、植物の生命力を間近で感じられる非常に楽しい作業です。

親株から伸びるランナーを大切に育て、次郎苗・三郎苗を選別してポットに受ける。たったこれだけの工夫で、翌年にはプランターから溢れんばかりのイチゴを収穫できるようになります。

「買う」から「作る」へ。

自分の手で育てた苗から、真っ赤に熟した甘いイチゴを収穫する喜びは、一度味わうと病みつきになります。ぜひ、今年の夏はランナーを活用した育苗にチャレンジして、憧れのイチゴ食べ放題を実現させてくださいね!