強制執行で「差し押さえるものがない」場合、どうなる?知っておきたい正しい知識
借金の返済や税金の支払いが滞り、「強制執行」という言葉に不安を感じている方は少なくありません。
特に、「自分には差し押さえられるような財産がないから大丈夫だろう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、差し押さえられる財産がない場合でも、問題が解決するわけではありません。
この記事では、「差し押さえるものがない」場合に何が起こるのか、そしてどのように対処すべきかについて、分かりやすく解説します。
1. 差し押さえの対象は「目に見えるもの」だけじゃない!
「差し押さえ」と聞くと、自宅の家財道具や車などを想像するかもしれません。しかし、強制執行で差し押さえの対象となるのは、それだけではありません。
動産: 自宅内にある現金や骨董品、貴金属などが該当します。ただし、生活に必要なもの(冷蔵庫、洗濯機、ベッドなど)は差し押さえが禁止されています。
債権: 銀行預金や給与、売掛金などがこれにあたります。特に給与は差し押さえられやすく、手取り額の4分の1(一定額を超える場合は上限あり)が差し押さえの対象になります。また、差し押さえられた時点での銀行口座の残高も差し押さえられます。
不動産: 土地や建物などが該当します。差し押さえられた不動産は、競売にかけられて売却され、その代金が借金の返済に充てられます。
「差し押さえられるものがない」と思っていても、給与や預金など、目に見えにくい財産が差し押さえの対象になる可能性があることを知っておきましょう。
2. 「財産がない」と主張しても、調査される可能性
もし債務者が財産を隠そうとしたり、本当に差し押さえるものがない場合でも、債権者は簡単には諦めません。
債権者は裁判所に「財産開示手続」を申し立てることができます。これは、裁判所を通じて債務者に対し、自身の財産状況を明らかにさせる手続きです。この手続きを正当な理由なく無視したり、嘘の申告をしたりすると、罰則が科される可能性があります。
また、弁護士や司法書士に依頼して、独自の調査で財産を探すこともあります。
3. 差し押さえられるものがなくても、借金はなくならない
強制執行の結果、差し押さえるものが何も見つからなかったとしても、借金や税金がなくなるわけではありません。債務は残り続け、債権者は別の機会に再び差し押さえを試みる可能性があります。
この状況を根本的に解決するためには、債務整理を検討することが重要です。債務整理には、主に以下の3つの方法があります。
任意整理: 債権者と直接交渉し、将来の利息カットや返済期間の延長を目指します。
個人再生: 裁判所に申し立てて、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
自己破産: 裁判所に申し立て、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。財産がほとんどない場合に有効な手段とされています。
専門家に相談することで、あなたの状況に合った最適な解決策を見つけることができます。
まとめ
「強制執行で差し押さえるものがない」という状況は、決して問題の終わりではありません。差し押さえの対象は多岐にわたり、借金そのものが消えるわけでもないからです。
もし強制執行や借金問題に悩んでいるなら、一人で抱え込まず、弁護士や司法書士などの専門家への相談を検討してみてください。