遺族年金ってどんな制度?「もらえる人・もらえない人」をわかりやすく解説!
「もしもの時、遺族年金って誰がもらえるの?」
「自分は対象になるのかな?ならないのかな?」
ご家族に万が一のことがあった場合、残されたご家族の生活を支える大切な公的年金制度が**「遺族年金」**です。しかし、「誰が、どんな条件でもらえるのか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、遺族年金の基本的な仕組みから、**「遺族年金をもらえる人」と「もらえない人」**の違い、そして受給のためのポイントまで、わかりやすく解説します。もしもの時に慌てないよう、大切な知識を一緒に確認していきましょう!
1. 遺族年金って何?2つの種類を理解しよう
遺族年金には、大きく分けて**「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」**の2種類があります。亡くなった方が加入していた年金制度によって、どちらか一方、または両方を受け取ることができます。
1-1. 遺族基礎年金
主に、国民年金に加入していた方が亡くなった場合に、**「子どものいる配偶者」または「子ども」**が受け取れる年金です。
目的:子どものいる家庭の生活保障が主な目的です。
対象者(亡くなった方):
国民年金の被保険者であること。
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている、または保険料納付要件を満たしていること。(原則として、死亡日の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上が保険料を納付または免除されていることなど)
対象者(遺族):
子のある配偶者(事実婚を含む。内縁関係は原則不可)
または子
「子」の定義:18歳になった年度の末日まで(障害の状態にある場合は20歳未満)であること。婚姻していないこと。
1-2. 遺族厚生年金
主に、厚生年金に加入していた方(会社員や公務員など)が亡くなった場合に、その遺族が受け取れる年金です。遺族基礎年金に上乗せして支給されることがあります。
目的:会社員や公務員などの遺族の生活保障が主な目的です。
対象者(亡くなった方):
厚生年金の被保険者であること。
老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている、または保険料納付要件を満たしていること。(原則として、死亡日の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上が保険料を納付または免除されていることなど)
対象者(遺族):
配偶者(事実婚を含む。ただし、婚姻期間や生計維持関係などの要件あり)
子
父母
孫
祖父母
対象となる順位:配偶者と子が優先され、次に父母、孫、祖父母の順になります。また、それぞれに生計維持要件や年齢要件などがあります。
2. 遺族年金「もらえる人」と「もらえない人」のポイント
遺族年金を受け取れるかどうかは、**「亡くなった方の年金加入状況」と「遺族の条件」**によって決まります。
2-1. 亡くなった方の年金加入状況(保険料納付要件)
遺族年金をもらえるかどうかの大前提として、亡くなった方が、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
国民年金の被保険者である間に亡くなった場合:
死亡日の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料を納付または免除されていること。
または、死亡日が65歳未満で、死亡日の前々月までの1年間で保険料の未納期間がないこと。
老齢基礎年金(または老齢厚生年金)の受給資格期間を満たした方が亡くなった場合:
保険料を納める期間が足りていなくても、老齢年金を受け取るための期間(原則10年以上)を満たしていれば対象になります。
厚生年金の被保険者である間に亡くなった場合:
通勤中や業務上の事故による死亡など、特定のケースも含まれます。
【ポイント】
**保険料の未納が多いと、対象外になる可能性があります。**国民年金保険料の納付は非常に重要です。
2-2. 遺族の条件(生計維持関係・年齢・婚姻状況など)
次に、遺族が受け取るための具体的な条件です。
【配偶者】
生計維持関係:亡くなった方と生計を同じくしていたこと。原則として、亡くなった方の死亡当時、年収が850万円未満(または将来的に850万円未満の見込み)であること。
子の有無:遺族基礎年金は「子のある配偶者」のみが対象です。子のいない配偶者は遺族基礎年金は受け取れませんが、遺族厚生年金は対象となる場合があります。
再婚:遺族年金を受け取っている配偶者が再婚すると、原則として受給権は消滅します。
性別:男性の配偶者も条件を満たせば受給できます。
【子】
年齢要件:18歳になった年度の末日までであること(障害の状態にある場合は20歳未満)。
婚姻状況:婚姻していないこと。
生計維持関係:亡くなった方と生計を同じくしていたこと。
【父母・孫・祖父母】
年齢要件:父母・祖父母は原則として55歳以上であること。孫は18歳になった年度の末日まで(障害の状態にある場合は20歳未満)であること。
生計維持関係:亡くなった方と生計を同じくしていたこと。
婚姻状況:父母・祖父母・孫は婚姻していないこと(孫は年齢要件と合わせて)。
2-3. 遺族年金をもらえないケースの例
上記を踏まえると、以下のようなケースでは遺族年金を受け取れない可能性があります。
亡くなった方の年金保険料の未納期間が長い場合:
要件を満たしていないと、遺族は年金を受け取れません。
子どものいない配偶者で、亡くなった方が国民年金のみに加入していた場合:
遺族基礎年金は子のいない配偶者には支給されません。
遺族が一定以上の収入がある場合:
生計維持関係の要件を満たさないため、対象外となることがあります。
配偶者が再婚した場合:
原則として遺族年金の受給権が消滅します。
事実婚(内縁関係)であっても、生計維持関係が認められない場合:
遺族年金は、生計維持関係が重要視されます。
遺族の年齢要件や婚姻要件を満たさない場合:
例えば、子が18歳以上で婚姻している場合など。
3. 遺族年金の受給額はどれくらい?
遺族年金の受給額は、亡くなった方の年金加入期間や収入、遺族の構成(子の人数など)によって異なります。
3-1. 遺族基礎年金
定額で、子の人数によって加算されます。
金額の目安:
配偶者と子1人の場合:約100万円/年程度
配偶者と子2人の場合:約120万円/年程度
子のみが受け取る場合も同様に子の人数で加算されます。
3-2. 遺族厚生年金
亡くなった方の厚生年金加入期間や報酬額に基づいて算出されます。
金額の目安:亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の概ね4分の3相当額。(遺族の構成や加給年金などで変動します)
遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる場合は、これらを合算した額となります。
【ポイント】
具体的な受給額は、個別のケースによって大きく異なります。年金事務所や街角の年金相談センターで確認することをおすすめします。
まとめ:もしもの時のために、遺族年金の知識を持っておこう!
遺族年金は、残された家族の生活を支えるための重要な公的支援制度です。しかし、その受給要件は複雑で、「もらえる人」と「もらえない人」がはっきり分かれます。
亡くなった方の年金加入状況(保険料納付要件)
遺族との生計維持関係
遺族の年齢や婚姻状況
これらのポイントが、遺族年金を受け取れるかどうかのカギとなります。
もしもの時に慌てず、適切な手続きができるよう、ご自身の年金加入状況や家族構成と照らし合わせて、遺族年金の基本的な知識を持っておくことは非常に大切です。ご不明な点があれば、お近くの年金事務所などに相談してみましょう。